神社の例祭日に執り行う神楽は神(霊[たましい])を慰めるのが目的である。元来は神が、人に見せるものであったらしい。神楽も時代と共に変化しているようである。
「記、紀」に出てくる神話にもとづいた神楽も、時として、田楽や獅子舞、能の影響を受けて滑稽な舞も演じるようになった。曲目、次第を概観したときまず、神降ろしの行事があり本芸とする神々の舞。
最後に神上げの行事となる古式的なものほど、神降ろし、神上げの行事が丹念に行われるが、それらの稀薄なものでも、舞の中に仕組まれている。
曲目は十二、二十四、三十六座の聖数を用いているものが多い。特に、関東地方の里神楽「岩戸神楽」にみうけられる。
「座」とは神の一柱の意である。
神々の舞を組み合わせ、演劇的な効果をもたらしたものに、出雲地方の神能のような能楽に準じたものや黙劇として発達した、江戸の里神楽などがある。
曲目の名称は、採物による榊の舞、八幡の舞、稲荷の舞、岩戸開きの舞、大蛇退治の舞、等がある。
神楽は、全国に分布し地方的に又は一郡ずつの類型が見られる。九州では、日向神楽、平戸神楽、中国山陰では、大社神楽、四国の伊予神楽、近畿の巫女神楽、関東では里神楽、岩戸神楽、東北の山伏神楽、北海道の松前神楽、その他、舞楽系統、獅子を重視する神楽などがある。
大社では雅楽を用いる社もある。
尚、神楽も環境、時代的感覚に適応を欠き、衰退をたどるものもある。
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